DataKeeper を使って共有ストレージ無しの Quick Migration にチャレンジ
今年の3月中旬だったと思いますが、DataKeeper という 3rd Party 製品を借りる事が出来たので、試してみました。
そして、ブログに書こうと思いつつ今になってしまいました(^_^;)
通常フェールオーバークラスタ環境を構築するには SAN や iSCSI などの共有ストレージが必要になりますが、この製品を使うと、共有ストレージ無しに同様の環境が作れるという面白いものです。
環境はこちら。
環境設定が面白くて、最初は共有ストレージ無しの構成で環境を作って行くのですが、途中から共有ストレージがあるように見えてしまうんです。
手品のような雰囲気ですね。
かなり細かな手順になりますので、以下に手順を書いておきます。
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- 2台のPCに、DataKeeperで利用するパーティション(私の環境ではFドライブ)を作っておく
※ 私の場合、既存のパーティションを縮小させて、空き領域に仮想マシンがおける程度の新しいパーティションを作りました。 - 共有ディスク無しのノードマジョリティ(各ノード毎にクォーラムを持つ)構成にてMSFCを構築
※ 「構成の検証」を良いタイミングで実施しないと、この構成まで行き着きませんでした。。。 - 各ノードにDataKeeper をインストールし、再起動
※ 実は、dllが登録できないので手動で登録しろというエラーが出て、手動で登録した後もうまくいかないという事がありました。
※ 何度かやってみたらうまく行くようになりました。 - Datakeeper 用のファイアウォール設定
※ 今回はとりあえずファイアウォール無効に - DataKeeper管理ツールでジョブを作成し、手順1で準備しておいた2台のマシンの特定のドライブ(今回はFドライブ)を同期させる
※ ジョブの作成方法はいたって簡単
※ まずはDataKeeperの管理ツールで2台のサーバーを追加(名前を認識させるだけ)し、後はウィザードで設定するだけ - フェールオーバークラスタ管理画面にて、サービスとアプリケーションのところに空のサービスを追加
- 空のサービスを右クリックし、DataKeeper Volumeリソースを追加
※ この時にようやく フェールオーバークラスタ管理画面に DataKeeperという文字が出てくる
※ ここで、フェールオーバークラスタ管理画面の記憶域にも DataKeeper Volumeが表示される - 追加されたリソースのプロパティを表示
※ DataKeeper Volume パラメータというタブにて、手順5で同期中のドライブ(今回はFドライブ)を指定 - 追加されたリソースが他のノードに移動してみる
- 手順6で追加したDataKeeper を削除する
※ 記憶域にだけ DataKeeper のリソースが残っている状態になる - 記憶域に残った DataKeeper リソースをオンラインにする
- 空のリソースを削除をする
※ ここは面白い手順ですね。 - Hyper-V マネージャで、Fドライブに仮想マシンAを作成
- フェールオーバークラスタ管理ツールにて、リソースとして仮想マシンAを追加
- 仮想マシンAを右クリックし、記憶域を追加
※ DataKeeper のディスクがリスト化されるので、それを追加する - 仮想マシンAを右クリックし、プロパティを表示。依存関係として DataKeeper を追加する
※ この設定にて、仮想マシンAのMigration時に自動的にDataKeeper用ドライブも移行される。
※ DataKeeperの管理ガイドの依存関係設定は DataKeeper用のドライブだけだったが、仮想マシンAの構成がデフォルトで設定されているので、それはそのまま残しておく。 - 仮想マシンを起動する
- フェールオーバークラスタ管理画面にて、Quick Migration や Live Migration を実行
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Quick Migration や Live Migration 実施時に、移動先で仮想マシンが起動しないことがありました。そのような状況になった時は、フェールオーバークラスタ管理画面から仮想マシンをシャットダウンして下さい。シャットダウンした状態で Quick Migration を行い、起動しなかった物理マシン上で仮想マシンを起動するとうまくいくようになりました。(高添の環境では)
また、残念ながら、Cluster Shared Volumes には対応していないようです。よって、1つのパーティションに対してアクティブなノードは1つであり、Migration のために各仮想マシン毎にDataKeeper 同期用のパーティションが必要になります。
Live Migration は動きますが、ping -t だと2~3回要求が途切れ、リモートデスクトップ接続は接続断となる確率が高いです。(リモートデスクトップ接続の画面では再接続処理中のメッセージが出ました)
ということで、結論としては、Quick Migration のデモならば使えますが Live Migration のデモは今まで通り iSCSI Target を利用することになると思いました。それでも、共有ストレージ無しでの Migratoin デモができるとすると、持ち歩くマシンの台数が3台から2台に減りますし、Hubが必要なくなりますし、とにかくデモ環境の敷居が下がるんですよね。
なので、是非とも CSV にも対応してほしいと思います。
また、5月にアメリカで行われたTechEd でも日本のメーカーさんのストレージソリューションも含めいろいろと発表があったようなので、今後はもっと便利になるのかもしれません。是非試してみたいですね。
マイクロソフト 高添