アイデンティティ ~心を動かすその力~

頭が回転しないときはITの勉強をしても頭に入ってこないので、通勤時間などに人の心に関する本を読んで心の成長を目論んでいる高添です。たまたま今読んでいる本に「アイデンティティ=所属意識」と書いてあるのを見て、ピンときてしまいました。

マイクロソフトは入社するとIDがもらえます。ITが Active Directory ベースになっていることもあって、それがメールアドレスにもなり(最近は違うアドレスも使えるようになりましたが)、ログオン用のIDにもなり、名前の代わりにもなり、そして社内でのあだ名にもなります。他の社員がどう思っているかはわかりませんが、私はこのIDに非常に愛着があり、時には名前と同等(大げさに言うと自分そのもの)に感じたりもしているくらいです。

ここでいうID=アイデンティティは、「個性」とか「識別用の記号」のような捕らえ方をしていますが、あらためて意味を調べてみると哲学的な感じがしてきます。

三省堂さんのページを利用させていただきました。http://dictionary.sanseido.co.jp/topic/10minnw/024identity.html

  【どういう意味?】

  「あるものがそれとして存在すること」、また、そうした認識を指します。
  「同一性」「一致」のことです。

  【もう少し詳しく教えて】

  「アイデンティティー」(identity)は、広義には、「同一性」「個性」
  「国・民族・組織などある特定て集団への帰属意識」「特定のある人・
  ものであること」などの意味で用いられます。

  コンピューター関係で用いられるときは、「一致」「識別」のことです。

  学術用語としての「アイデンティティー」の定義は、哲学分野では、
  「ものがそれ自身に対して同じであって、一個のものとして存在すること」です

ということらしく、もともと組織などへの帰属意識も含まれるわけです。

そこで、あらためてマイクロソフトでの私のIDについて考えてみると、帰属意識としてのアイデンティティとIT上のIDがうまく重なり合っている気がするんですよ。社員がそう思えたとき、社内でドメインにログオンするのに「自分はこれからネットワークを利用します」と宣言しているような気もして、「このIDを使うからには変なことはできないな」という抑制力が働くわけです。

こんなことを考えていたら・・・
もしかして、アイデンティティについてもっと深く考えてみると、ガバナンスとか言って上から押さえつけたりせずに、人の心を動かせる力を持っているのではないかと思い始めたわけです。これが一番言いたかったこと。

そういえば、社員全員にあだ名をつけて、名刺まであだ名になっていて、社内ではあだ名で呼びあうという会社をTVで見たことがあるのですが、その会社はとても良い雰囲気だったとか。この会社の社員さんはあだ名というものに自分を重ねているのでしょう。ITとは関係ありませんが、これもアイデンティティを上手く活用した事例なのでしょうからITにも流用できる気がします。

本気でIDと個々人を結びつけるというシナリオを描くためには、ネットワークをシンプルにし、ID管理をシンプルにし、IDそのものが個人なんだということを社員に感じさせる必要があるので、多くの会社ではITインフラを見直す必要も出てくることでしょうが、もし興味があれば頑張ってやってみてください。責任はとれませんが、フィードバックはお待ちしています(笑)

ちなみに、マイクロソフトはSAPさんのERPが社内業務システムのベースとなっていて、そこでは上記IDがキーになっているかどうかはわかりません。一応社員番号も割り当てられているので、そちらがキーになっているかもしれませんのであしからず。